私の好きな人



「彩月?」

「ん?なに?」


自転車が颯爽と進む中、突然良平が話しかける


「……」

「…良平?」

「いや…やっぱいい」

「あ、…うん」


なんだろ…

ていうか、良平が喋ると腕から振動が伝わってきて心地良い


この距離…


半端ないって!


………なんつって


「なに笑ってんの?」

「え?」

「……」


やば…

浮かれてる場合じゃない


思わず不気味に笑ってしまった…


「わ、笑ってないし…ちょっと咳払い…」

「なんだよ咳払いって。つか重い!」

「え?!おもっ」

「あー明日は足も腕も筋肉痛だな」

「ちょっとぉ…」

「つかなんで自転車壊れたんだよ…早く直ってくれないと、それまでに俺が壊れる」

「…ゴメンね、それはほんと感謝してます」



でもね

文句言いながらもさ


ちゃんと自転車が直るまでは乗せてくれるんだね



良平の一つ一つの優しさを



私は見逃さないんだ



良平の背中越しで私は顔を真っ赤にして喜ぶ



こんな気持ち



良平だからだよ…



怖くて言えないけど



大好きなんだよ…




「ありがとう。また明日」

「うん」



家の玄関前で去っていく良平を見つめる



私の幸せな1日が終わって



また明日



私の幸せな1日が始まる