私の好きな人



「はぁ…やっぱカッコイイ!」

「名前なにって言ったっけ?」

「確か…小林くんって聞いた」

「小林くんかぁ。もぉヤバいよね?」

「ヤバいヤバい!神級よ。…って、もう1人の神が見当たらないね…」

「え?藤くん?…ほんとだ、いないね」

「どこ行ったんだろ…ダブルで拝めると思ったのにー」

「ほんとそれ…ちょっとショック」



………。


無理やり連れてこられた私は呆然…


なんなんだ…


なんとも居心地が悪い


ザワザワと群がる廊下に私一人が明らかに浮いてた


廊下の壁にもたれ掛かり、ゆっくり深呼吸する


そりゃさ


確かにカッコイイよ?


うん、誰が見ても良平はカッコイイと思う


小林?っていうイケメン転校生も一瞬見ただけだけど確かに顔は整っててキレイだった


けど本当に興味がない


これだけパワー溢れる女子達は凄いとさえ思うよ


ただ


良平は別


私の好きな人なのに


さすがにこんだけの女子達が良平たちを見に来てるのを目の当たりにすると



ちょっと


妬いちゃうな…



良平は気付きもしない…この気持ち



「…はぁ」


そこからのため息混じりの深呼吸…



「あれ?…ちょっと彩月ー!そんなとこで何してんの?こっちこっち!」

「…っ!」


ちょっと…そんな大声で呼ばないでってば!


「なにそんなフテた顔してんの?あれれ?もしや…」

「え…?」

「藤くんがモテてるのに妬いてるんでしょー!」

「なっ…ちがっ」

「なになにー?可愛いね彩月ー」

「違うってば…やめてよもう…」

「このこのぉー!乙女なん………へっ?」


………?


突然態度が変わる友達


目線が明らかに私じゃない



ガシッ…


「うっ!…え?」


突然後ろから私の首と顔は何かに包まれた


……なに?


目の前の友達は顔を真っ赤にし、廊下の群がりは一斉にこちらに注目する


「なんか用?彩月」


声と匂いですぐに分かった


「りょう…へい」


私は後ろから良平の片腕に首から顔を引き寄せられるように包まれてる


そして


間もなくして


周辺は悲鳴の嵐と化する



「…ふ、藤くん」

「どうも」


目の前の友達はため息のような声を出し良平を見つめる


良平の腕から開放された私は


きっと茹でダコだ…