「ほんと送らなくて大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!すぐだから」
「そう?別に全然送るのに」
「だーいじょうぶだって!運動よ運動!」
「相変わらず元気だなぁ彩月は。分かったよ。じゃぁここでね」
「うん、ありがと。じゃあねー」
他愛もない話をした後、桜子とは解散
颯爽と自転車で帰ってゆく桜子を何気に見送ったあと、私も歩き出す
「はぁ…」
思わずもれる溜め息
すぐだから!とか
運動!とか
カッコイイこと言っておいてさ
実は歩くことが大嫌いなんだな私…
でも桜子に甘えてばかりも…
ちゃんと歩いて帰りますとも。
「おい」
……?
突然聞こえてきた声
その声は後ろから…
「え…良平?」
振り向くと自転車を押しながら近づく良平の姿
「なに…元気ねぇじゃん」
「そんなことないし…」
「ふーん…。じゃーな」
「へ?あ…ちょっ」
「なに」
「いや…良平も今帰り…ですか?」
良平に会えるなんてラッキーだ
すごい嬉しい!!
せっかくだから…一緒に…
「そうだけど」
「良かったら一緒に…か」
「なんだよ、家までは”すぐだから””運動”がてら歩いて帰るんじゃないの?」
「え?!なんでそれを…」
「バカでかい声、嫌でも聞こえる」
「ば、バカでか…っ?」
恥ずかしい…っ
良平、近くにいたんだ
「…たく、乗れよ」
「え?いいの?」
「…ついでな」
「まじ?!ありがと!!」
私ってツイてるー!
良平と帰れる
たまたまを装わなくても帰れるなんて…
嬉しすぎる
「ありがとうございました!」
「あぁ、じゃーな」
歩くと長い道のりだったはず
1人トボトボ帰ってたはず
でも、良平となら一瞬
あっという間に家まで着いちゃった
良平の後ろに酔いしれる間もないくらいだ
良平は、ちょっとした魔法使い
…なんて
恋する乙女は
もはや病気だ

