エスポワール~私と御曹司~


響「その服じゃ動きづらいだろ。
ちょっと待ってろ。
俺の服、持ってくる。」

ひーくんは2階に上がって
しばらくすると洋服を
持ってきてくれた。

ひーくんの洋服は少し大きかったけど
でも、さっきの服よりは
随分と動きやすかった。

相変わらずここは大盛況だった。
騒がしくて、忙しくて
でも、それが楽しかった。

響「藍原、これ頼む。」

希「了解。」

お客さんと話して
ひーくんと笑い合って
...もしかすると私に
見合った仕事はここなのかもしれない。

夜中まで企画を考える雑誌編集者でもなく
毎日同じ事を繰り返す大企業のOLでもない。
居酒屋おかえりのホールスタッフとして
働く私が1番私らしいのかもしれない。

久しぶりだった。
働く事が楽しいと思えたのは。