見慣れぬ高級車に私を乗せると
御曹司は運転席へと座った。
...本当に御曹司は
期待を裏切らない。
やっぱりこんな高級車に
乗っちゃってるんだ。
恥ずかしくて惨めで悔しくて
悲しくて...でも御曹司には
そんな姿見せたくなくて
弱音なんて吐きたくなくて
惨めな思いをしたくなくて
精一杯明るくいつも通りの
私でいるように心がけた。
希「本当に馬鹿ですよね、私。
一度、フラれてるのに
舞い上がって着いてって
結果的に部長に迷惑かけて...
本当に...馬鹿です。」
相変わらず御曹司は何も言わなかった。
希「馬鹿にしてもいいですよ。
てゆーか言って下さい。
お前は馬鹿だって。
人に言われた方が反省出来そうです。」
車の走行音だけが聞こえた。
長い沈黙の後、小さな声で
御曹司が言った。



