エスポワール~私と御曹司~


お兄ちゃんの眠る病室の前にある
ベンチの上で私はうずくまった。

お兄ちゃんまでいなくなったら
私、本当に一人ぼっちになっちゃうよ。
お兄ちゃん、ヤダよ。
私を一人ぼっちにしないでよ。

さっきの震えよりも更に
強い震えが私を襲う。
そんな私を温かい何かが
包み込んでくれた。

響「毛布...借りてきた。」

ひーくんは私に毛布をかけると
自分も一緒になって毛布にくるまった。

響「交代で見よう。」

希「え?」

響「少しでも眠らないと
今度は藍原が倒れる。
藍原が眠ってる間は俺が見てるから。
...大丈夫。藍原。俺がいる。
お前は一人ぼっちじゃない。」

温かい。...ひーくんは温かい人だ。

ひーくんが渡してくれた
毛布にくるまりながら
私は泣いた。思いっきり泣いた。