エスポワール~私と御曹司~


お医者さんはお兄ちゃんの
病状を詳しく説明してくれたけど
正直、全然頭の中に入って来なかった。

お兄ちゃんはガンで
手術で全て取り除いたけど
目を覚ますまでは安心出来ない
そんな事を言われたように思う。

私の震える肩をひーくんは
そっと抱き締めてくれた。

響「藍原、帰ろう。」

希「お兄ちゃんのそばにいる。」

響「藍原がここにいたって
何も出来ない。病院には泊まれない。
明日また様子を見に来よう。」

希「イヤだ!絶対に!
私はお兄ちゃんの元を離れない!
ひーくんは帰っていいよ。」

ひーくんはそっと手を離すと
歩いて行った。