響「呪文のように何度も何度も
繰り返すから、数えてみた。
でもな、藍原。リセットする事と
逃げる事は違うんだ。」

希「どう違うの?」

響「藍原は前向きな気持ちで
別れを選んだんだと思ってた。
もう1度、1からやり直すために
リセットして頑張ろう!
そう思ってると思ってた。
だけど、今の藍原は前向きじゃない。
今の状況を受け入れようと
必死になって、自分自身を
納得させるためにこう言う。
これで良かった。その一言で終わらせる。」

ひーくんの言う通りだ。

響「本当に、これで良かったと
思ってる人間はいちいち
そんな言葉は言わないんだ。
...後悔してるんじゃないのか?」

言ってしまおうと思った。
本当はすごく後悔してるって。

不安でも自分に自信が持てなくても
例え、御曹司がただそこに私が
いたからって理由で私と
付き合っていたとしても
そっちの方が良かったって。

あの時の私は一体、何に
こだわってたんだろうって。
何で、ちっぽけな事が
許せなかったんだろうって。
本当はめちゃくちゃ後悔してた。

希「...本当は、私...」