エスポワール~私と御曹司~


響「俺、藍原ってもっと
バカな奴なのかと思ってた。」

でも、今日のひーくんは違った。

希「ちょっと!ひーくん。
バカはないでしょ!」

響「...バカになれたら楽...なのにな。」

希「え?」

いや、違わなかった。

響「好きな人が好きになってくれた。
それだけで十分、私は幸せ。
悩む事なんて何もないってさ。
そんな風にバカになれたら楽なのにな。
自分の想いが伝わらなくても
好きな人の笑顔を見られるのなら
それだけで十分って思えたら楽なのにな。」

ひーくんはやっぱり優しかった。

響「藍原、辛いならさ......」

何かを言いかけて辞めたひーくんは
いつもの笑顔を見せて言った。

響「そのガウン貸してやるから
早く戻らないと風邪引くぞ。
じゃあな。」