エスポワール~私と御曹司~


声のする方を見ると奈緒ちんが
手を振っていた。

奈緒「もうすぐお昼でしょ?
ランチでも行こうよ。」

希「あ、でも...後、30分...」

三田「いいよ、いいよ!
藍原さん、行っておいで!
後の事は俺がやっておくから。」

いつも厳しい三田さんが
今日は優しかった。
私の手に持っていた資料を
受け取ると奈緒ちんに
向かって頭を下げる。

三田「お姉様、ご無沙汰しております。」

奈緒「あら、三田くん?
随分立派になっちゃってー!
今はチーフだっけ?
使い物にならなかった
あの三田くんが偉くなるなんて
私も老ける訳ね。」

そっか。そりゃそうだよね。
知らなかったのは私だけ...か。

三田「じゃあ、藍原さん。
ランチ楽しんできて!」

三田さんに笑顔で送り出されて
しまったのだから仕方ない。