不安だったから怖かったから
聞けなかったんだよ。
...そんな私のちっぽけな気持ちなんて
御曹司には分かんないよね。

望「あんな奴に
言われなくても気付いてる。」

希「あんな奴?」

望「お前のバイト先の店長。
客にいきなりキレるってさ
ったく、どんな店で働いてんだよ。」

希「ひーくんの事、悪く言わないでよ。
ひーくんは私の事、心配して...」

望「知ってる。気付いてる。
希が考えてる事くらい読めてる。
でも、あえて言わなかった。」

希「どうして?」

望「言って欲しかった。
あそこに連れてけ。
あれが食いたい。
お前のこうゆう所が嫌だ。
奈緒とはどうゆう関係?って。
全部、お前の口から聞きたい。
心の中で思うんじゃなくて言葉で。」

希「でも、どうせ採用されないでしょ?
私がどっか行きたいって
言っても、あの店がいいって言っても
却下って言うでしょ?」