望「...大学卒業してようやく医者として
働けるってなった時、俺
日本にはいたくなかったんだ。
助けたいと思っていた人を助けられなかった。
その人が暮らす日本で沢山の人の
命を救う医者になんてなれる訳が
ないと思った。だから、フランスへ行った。」
御曹司は突然、全然違う
話をし始めた。
望「でも、親父は最後まで
反対してて半ば強引にフランスへ
行ったんだ。...家を飛び出すように
計画性もなく行ったから部屋と仕事が
決まるまで、しばらく公園の
ベンチで寝てた。だから、廊下で
寝るくらい何とも思わない。」
私の知らない御曹司の話。
また1つ、私だけが知ってる
御曹司が増えていく。
希「部長が何とも思わなくても
周りの人達は困るよ。
廊下で部長が寝てたら。」
望「入ってもいいか?」
希「うん。」
ーガチャ
御曹司は遠慮がちにドアを開けると
ソファに毛布を置いた。



