エスポワール~私と御曹司~


望「起きない方がいい。
今日はここで休んでろ。」

希「でも、平気だから。」

望「じっとしてないと
鎮静剤打ってもらうぞ。」

ああ、そっか。
この人、医者だったんだ。

希「それはヤダ。」

望「じゃあ寝てろ。」

希「うん。」

変わらないのは
やっぱりこの人はなかなか
帰ろうとしない事。

望「眠れないのか?」

希「え?」

望「思い出すのか?
あの日の......事。」

ああ、そっか。
この人は私の心が読めるんだった。

希「うん。」

望「言えば良かっただろ?
眠れないのなら眠れないって。」

希「部長に言ったって
何も変わらないよ。
私が忘れるしかないんだよ。」