希「そうだなあ、今日は。
あ!あの店!」
私が指さした店を見て
御曹司は露骨に嫌な顔をした。
望「あんた、俺の嫌いな店
知ってるよな?」
希「人が多い店。
掃除が行き届いてない店。
床がギトギトの店。」
望「で、何であの店?却下。」
いつもこんな感じだから
私の言うお店はほとんど
採用されないけど、でも
前よりは御曹司なりに
私に合わせてくれるようになった。
望「あの店だな。」
ーガラガラ
御曹司が扉を開けたお店は
カウンター席と2つほど
座敷のある小さなお店だった。
少し騒がしい店内と
庶民的なメニュー。
これが、御曹司なりの気遣いだ。



