見渡す限り見える山々などの風景全てが真っ白に覆われている。冬の寒さを際立たせる銀白色の空からは刹那に純白色の天使達が舞い降りてくる。そして、俺の肩にはその天使達が積もり始めた。現在俺は訳あって校門の前に立っている。この学校は町外れ+山の麓にあるため、多くの自然と触れ合うことができる。時々、リスが見かけられる。なので登下校は結構時間がかかる。今日は7時間授業だったので早く帰らなければ暗くなってしまう。なのに、茜色の空のようなきれいな色のした髪色の少女が立ち塞がる。その可愛らしい小悪魔的な見た目とは裏腹に、少女の口からは無造作に他愛もない子供のような暴言が俺に向けて吐き出されている。
「このバカ!アホ!自己中!」
「…。」
「なんで、なんでなのよ!私が勇気出して言ったのに。」
「…。」
「私と付き合ってよ?お願いだから!」
「…。」
「ね、いいでしょ…?」
「…。」
「だめ…かな?」
「なんか言いなさいよ!」
「あはーん。」
俺がふざけた言葉を放った瞬間、少女の垂れ下がった目は釣り上がり、収まったと思ったはずの暴言の波が暴言の嵐もなって再来した。
「こんな時にふざけないで!この間抜け!バカ!このくそどうて…」
「黙れ、童顔。」
「童顔じゃなーい!そろそろぶっ◯すぞ!」
淡麗な容姿を持っているやつがそんな言葉を言ってはいけないと俺は思う。
「とにかく、今はキレてる場合じゃないや。」
少女はいきなり冷静になり、二重で大きな輝かしい目で上目遣いを始めた。
「もう一回言うね?私と…私と付き合って…?」
「断る。」
俺はすっぱりと切り捨てた。
普通の高校生なら誰もがOKサインを出すだろう。だが俺は違う。生まれた日と病院は同じ。そして、隣に住んでいる。おまけに幼稚園に通ってた時以上前からの付き合い。だから学校では猫を被ってることなどお見通しだ。「なんで…ずっと前から好きなのに…う…うわーーーーん!」
「ガキみたいに泣かないでくれ。」
泣き出したら子供のように泣いてなかなか泣き止まない。正直、こうなってしまっては面倒くさい。「わかったよ。付き合う。」と言ったらぴたっと泣き止むと思うが、そんなことは口が裂けても言わない。
「なんでぇ…なんでよー…うぇーーーん…」
ついに地面に膝をつけて立ち上がらなくなってしまった。」