「佳奈は肌が綺麗だから、ナチュラルメイクにしたよー」


紗良は、はい、完成、と言いながら、私の顔を覗き込む。


「ありがと!」


私はそう言いながら鏡を見た。


「……っ」


「ねえ、どう?気に入った?」


「ねえ、誰?」


私は、この鏡に映っているような可愛い女の子を知らない。


「気に入ってくれたんだねー!よかった!」


「紗良……。私が言えることじゃないけどさ、メイクすっごく上手くなったね……」


私が前紗良にメイクしてもらったのは、1年前くらい。


その時とは比べ物にならないくらいの上手さだ。


「えへへ」


紗良は照れたように笑った。


「あ、もう少しで集合時間だよ!早く行こ!」


紗良は照れを隠すためか、焦ったようにそう言った。