「告白してから、
返事を聞くまでの適正期間て
どのくらいかなぁ?」

「は」
自転車に乗る朝子から
何を言ってるんだこいつはという目が私に向けられる

「いや、ほら!昨日朝子が手紙渡してくれたじゃん?」
「そこにさ『明日の放課後5時、孔子原公園で待ってます』って書いたんだけど、、それって長いのかな?短いのかなぁ〜?って思ってさ」


「ていうか、千田君て部活やってないの?」

「え、なに急に?」


「あんた、5時ってあたし達は暇だから余裕で行けるけど、部活やってたら絶対そんな時間行けないかんね」

「あ!!

どうしよ…
千田君バド部のエースだよ‼︎
ねぇえ!どうしよ!!?」


「馬鹿…、
まぁ遅くなっても部活終わりに来てくれんでしょ、さすがに」
「困らせちゃってるとは思うけどね、一緒に待っててあげようか?来たらさっと帰るから」

「ううん、、大丈夫」
「…ありがと」

いつもの様に学校に着き、
いつもの場所に自転車を停める

それでも今日は
いつもとは違う今日になるから
同じ朝も特別に思えた

昨日より、ちょっと暑い
身体が汗ばんでいるのが分かる。
ワイシャツに汗が滲み出て居ないだろうか?背中も後で朝子にチェックして貰わなければ

玄関で室内履きに履き変えようとスリッパを手に取ると、下駄箱の下面に何やら小さなメモ用紙みたいなものが貼り付けてあるのが見えた


え、これって…

千田君から……?


こんなに心臓がバクバク鳴るのを
初めて聞いた



これで終わり…

…じゃないよね?

ごめんなさい
って
書いてあって
それで終わりなんてないよね…?




ちゃんと直接言えば良かった
そうすれば千田君の言葉
聞けたかもしれないのに…


私は卑怯だ。自分は手紙で
それも友達に渡して貰っておいて
ちゃんと直接返事が聞けるって
思ってた





よろしくお願いします
って書いてあってくれ!

神様なんて信じてないけど
無意識に祈ってしまう



ぴらっ










『月曜日まで待って下さい』


女子よりも綺麗なんじゃないかというその字は、返事の期間延長を申し出ていた

「今日が金曜だから、、
あと4日か、結構あるね」

いつの間にか覗き込んでいた朝子が言う

「そうだね…」

少し前まで
決戦だ!決戦だ!と
私なりに息巻いていたのに
紙をめくるまでの数秒で
すっかり弱気になってしまった私は
この肩透かしに安堵してしまっていた


考える余地があるんだ…
それは少し嬉しくもあった