「えー!もうちょっと歌いなよー!」

二川さんの不満げな顔

それがちょっと嬉しかったり…

「でも、もう誰も来そうじゃないよ」

と僕は笑って

「いーよ、私が聴いてるじゃん」

と二川さんの口は尖ったままで

「じゃあ、…

僕はなんだかその言葉を待ってたみたいになってしまって恥ずかしいなぁ…と…

「あれ!!
みずほじゃない?⤴︎どしたん?
久しぶり〜!!!!」


明らかにうちの学校にはいないタイプのギャルが近づいて来ている

薄い黒と水色を
水にたっぷりといて塗った様な
薄ぼけた夕暮れどきにも

確かに分かるメイクの濃さ
スカートの短さ
そして本能が感じる危険性!!

これが世に言うギャルというやつか‼︎
身近な女子に苦手意識を持っていたことが無駄に思えてくる…
この圧倒的格の違い


「サキ、カナ!」

二川さんの知り合いらしい
まぁそもそも それ以外ないけど

「ひ、久しぶり!」
「おーす」
「あれっ⁉︎彼氏ぃ??」

ぐるっとギャルがこっちを向く
ヒィ!

「どーも、ミズホの友達のカナでーす」「サキでーす、よろしくね」

「相変わらず面食いだね」
「でも、なんか地味んなってない?
前彼もっとやばいかんじだったんべぇ?」

なんかいきなり群馬県民感全面に出して来たな
てか、二川さんあっち側の人だったのか…⁉︎?

「いや、ちよ!!待った待った!
彼氏じゃないから!!
あと、色々失礼だから!!
ちょっと黙ってて!!」

二川さんもこんな余裕なくなることあるんだな
なんかこれはこれで微笑ましい

ずっと翻弄する側だった人が
翻弄されてる笑笑

この人たちのヤバさが分かるなぁ…

「てか、あれ!!
ギター持ってっんじゃん!!
彼氏くん」

「おっさすが彼氏!そうか才能落ちね
それはあるわぁ、分かる分かる」

なんか弾けるの??弾いて弾いて!!

と二人のギャルは二川さんの隣に
座り込み始める

少し冷たい風が頰に当たって

スカートの丈が心配になった

「だから彼氏じゃないから!
相変わらず話聞かないなぁ…もう」

「まぁ、、いいじゃんいいじゃん!」

「ね!彼氏君!だって弾きたいから来てるんでしょ?ねぇ?」

なんというか凄まじい目力に押されて
僕は少し戸惑った間を開けてから、、

薄暗い駅前に視線を移す
「じゃあ、なんか弾こうかな…


二川さん、
なんか歌えるよね?」



「え?」

二川さんが
狐につままれた様な顔をして
僕はなんだか嬉しくなった