帰宅したい

毎日思ってたことだけど
こう実現してみると
やることがない

というか時間がある気がしない
あんなに長く感じた部活の時間
丸々ある筈なのに
"何もしない"に食い潰される

それじゃいけない
せっかく部活やめられたのに
これじゃ私が負けたみたいじゃないか
違うのだ
私の判断は間違って無かったのだ‼︎
ということにしたい
てか、するのだ是が非でも

電車の中は意外と空いていて
みんなの帰宅時間て
もっと遅いのかなぁと思う
今まで電車通学なんてしたこと無いから、電車に揺られてるだけで新鮮だ。

イヤホンの音楽の向こうに聞こえる
がたんごとんがこんなに大きかったっけ?ってくらいにおおげさで
心配になる、横転とかしないだろうか
まぁ他の人たちみんな気の抜けた様な表情してるから、これがいつも通りってやつなんだろうけど

ガタンゴトン

曲が終わって入れ替える
勉強とかはしない
てか、出来ない
酔っちゃうから
三半規管がごみなので
ちょっとでも文章みたら即アウト
だから、曲の説明とかも長く読んだらいけない
でも、まぁそれも
言い訳にして勉強しなくて済むなら
この時ばかりは便利な能力だ

ガタンゴトン

ユーチューブは神だと思う
ニコ動とかよー分からんけど

もっと良いアプリ
バックグラウンド再生できる奴とか
あるらしいけど
探すのめんどいし
ユーチューブを粗方使いこなしてるので、それで良い

登録してるチャンネルが
新しい動画あげてないか
画面を下にフリックして確かめる
それが地味にワクワクする

お気に入りのバンドの新しい曲
CD買わなくてごめんねって思いながら聴く、やっぱかっこいいわぁ
買うほどじゃ無いんだけどね

でも、CDっていう形態は結構好きだ不便だけど、
買うならデジタルじゃなくて
CDで買いたい。
あのパッケージデザインも
歌詞カードも
ぱかって開けた時の
ワクワク感も全部含めて
あのお値段なのだ

あ、あと買ってから家に帰って開けるまでの楽しみとかも含めて

そういうのちょっとアナログ派
口先だけだけど

自分のそういうとこが好きだったり

ガタンゴトン

さっきからちょっと
気になってる事が一つ。
私の座ってるとこから、ちょっと見えるあの子。クラスの子かも

私が座ってるとこが入り口近く
車両の内側向きの一人掛けで
その子は私の二つ向こうの
向かい合わせの4人掛け
私側のサイドの通路側

はるくん、雪見春樹くんだ
多分、、いや絶対

ちょっと揺れる車内の中を2、3メートルの距離歩いてゆく、ゆっくり、ぐっとぐらつく…

ガタンゴトンと電車は鳴る

「はる君?だよね」

「…」
足元には大きい黒い箱。
ギターケースかな?多分…
いやベースとの形の違いとか
正直分かんないけど

「これギター??」

「…」
うわっ見つかっちゃったみたいな顔
秘密だったのかも…
まぁこんな近くの電車乗るのが悪いよ
そりゃバレるよ

「…」
てか、喋れって
そろそろ喋ってほしい
頷きすらないとか…
私ですらちょと虚しいんだけど

「うん、、ギター…」

あ、喋りよった

「だよね!弾くの?
ん…?てか、弾きに行くの??」



「…ま、まぁ」
「わぁー!!すごい‼︎
私も一緒に行って良い??」



「…」


『ぇ?』って顔だねそれは

でも、甘い。そんなんで引くほどヤワじゃないんだわ、私は
リア充の匂いがする
それは恋愛うんぬんじゃなくて
リアルが
自分の好きな事で
もしくは目新しい事で
充実しているっていう意味での

リア充の匂いがするのだ
逃さない

私はあいつらよりも
幸せでなくてはならないのだ
やつらが汗水垂らしてる時間を
もっと有意義に楽しく充実させるのだ

ねーはる君