「俺達の関係性ってどうなんかな?」

「え、?」

エレベーターがもう少しで
上がりきるところ
足を踏み出すタイミング
見計らってたら

彼の言葉に
ふと、意表を突かれる

「どうって?」
付き合ってるよね…

「最初、覚えてる?」

「最初?」

ゆっくりと雑貨屋に向かいながら
予想外に重くなりそうな
話は続く

「幸也君が告白しに来てくれた時?」

「笑美ん中では、やっぱりそっから?」

「えっ?違ったかな?」

「俺たちってさ、

「うん」

「サッカー部と女バスがどんどん
カップルになってく流れみたいなのがあん時あったじゃん。」

「うん、あったね笑」
半分くらいはもう別れちゃってるけど

「それに乗っかったみたいにして、
いや別に乗っかったつもりは無かったけど、、でも
そうやって始まったじゃん。」

そのまま雑貨屋に入ってく
いいのかな?どうしよ…

「それで、俺が告白して、
笑美が受けてくれて、いや、
なんとなく告白したみたいに言ってるけど、そこはそうじゃなくて
もちろん言わずには居られないっていうか、勿論めっちゃ熱くなって告白したんだけど…」

なんだろ、これ…
別れ話になんのかな…
絶対雑貨屋でする話じゃないよ

でも、幸也君がこんな
格好付かずに話すの珍しい
あっ
最初ってこんな感じだったかも
懐かしい
ちょっとドキドキする
なんだろ

「で、付き合って、LINEそこそこして、でもそんな喋んなくて
あんまりどういう関係とか、考えてこなかったし、実際それで良いって
その感じが俺たちで良いって
思ってたんだけど、

「う、うん」
けど…?

「今日の笑美見てて、このままって
なんだろ、なんか駄目なのかなって
思ったんだよね。」

「わ、私?」
「なんかしたかな?」

「ううん。なんもしてない。てか、ぼーっとしてた。」
「笑美さぁ、俺に興味ないでしょ?」

「えぇ?」

「そうやってすぐ笑ってごまかす」

つい笑いながら見つめ返してしまう
だってなんて答えて良いか
本当に思いつかないんだもん

「また」
「いや、そういうん言いたいんじゃなくて、、」

目の前の適当な雑貨を手に取って、彼がちょっと考えるような顔をする。

あっそうだ、雑貨屋にいるんだった

なんか、今日一番、
ていうか最近で一番
幸也君と近くで喋ってる気がする
それは顔と顔とか、体と体とかの
近さじゃなくて
もっと心みたいなやつのことだ

でも、だからこそ
そうやって考え込まないで
そのまま話してくれれば良いのにって思う。
完成品をドンって出すんじゃなくて、一緒に作っていくような、
そんな会話が好きだなぁって
なんとなく 今 思った

「笑美、ずっとなんか考えてるみたいだった。今日。俺置いてけぼりみたいな感じで。笑」
「それ見てて俺、多分このままじゃ
やばいなって思ったんだよね。
それで今更あぁやっぱり好きなんだなって、どっか行って欲しくないなって思っちゃって」
「勝手だけど、もうちょっと近づいていけるように、関係を進めていける様に、そういう関係性に改めてなりたいなって、うん。思ったんさ。」

幸也君の恥ずかしそうな顔
グーの手を顔の前に当ててゔーって
かわいい

「あたしも、そうかも」

「えっ」
「どこが?」

「全部。最初も、ちょっと気になっては居たけど、告白してくれてその気になって、、もちろん私だって真剣に考えたよ!その結果の返事だけど!
それで、付き合ってからもなんとなく今の関係性のまんまでいっかって思ってた。
ずっと…今日も。」

なんかおんなじこと考えたんだな
ずっと…
でも、どうすんだろ これから

「じゃあ…?」
幸也君少し顔が暗くなって寂しい

「いや、!別に、関係を進める?
っていうのよく分かんないけど、、
そうしたくないって意味じゃなくて…
まだ、よく分かんないかなって、、」

「うん。俺もよく分かんなくなってきた…かも…まぁでも、ちょっと考えてみて…よ。」

「う、うん!考えてみるね。」








えっと、何を考えたらいいんだろ…