武彦の選びそうな店。そう思った。 武彦「マスター、シャンパンおろして。」 マスター「かしこまりました。」 私の意見を聞くでもなく メニューに目を通すでもなく 注文を済ませる。 私のグラスと武彦のグラスに それが注がれると、愛おしい その人は飛びっきりの笑顔を見せた。 武彦「翼、誕生日おめでとう。」 翼「ありがとう。」 グラスとグラスが重ね合わさる。 その甲高い音は何度も聞いた。 恋人に祝ってもらえる最高の誕生日。 周りから見れば幸せな一時も 何だか少し喜べないでいる。