午後三時、淹れたてのコーヒーを飲みながら、西園寺洸は眼下に見下ろす街並みに眉をひそめた。

いよいよ訪れた本格的な夏の日差しが、ぎらぎらと街を照らしている。
外はうんざりするほど暑いだろう。

ため息をつきながら空を見上げれば、
梅雨明けの空は雲ひとつなく清々しいほどに晴れ渡っている。

――今のこの空なら、昔とそう変わらないのだろうか。

西園寺洸は、その空を見つめながら、ふいにそんなことを思った。


――千年の時を遡っても。


見つめる青空に、ミステリアスな舞姫が浮かぶ。

それは昨夜のパーティでのワンシーンだ。

平安絵巻をお楽しみくださいという司会者のアナウンスと共に、薄暗くなった会場の奥でステージが紫色に浮かび上がった。