――楚々とした美人というのは、こんな女性を言うのだろう。

はじめて彼女を見た時、西園寺洸はそう思った。

リボンでウエストを絞ったベージュのワンピースの丈は、膝が隠れるギリギリのライン。細く白い腕の手首には華奢なブレスレット。折れそうなほど細いヒールのパンプスがよく似合う形のいい細い足。
長い首にそって毛先がゆっくりとカールした髪が鎖骨へと流れていく。

優しげな目元と薄いピンクの口紅が似合う唇。

どこにも文句がつけられない。さすがはアラキが選んだ女性だと思った。

『先入観を持たないよう、どちらの令嬢かは秘密のままで』
そうアラキが言った通り、彼女は苗字を名乗らず名前だけを言った。

「綾乃と言います」

「洸です。はじめまして」

そんな風にお見合いは始まった。