「申し訳ありません。お休みのところ」

「いいえ、こちらこそ。わざわざすみません」
どうぞと迎えるのは鈴木。
手土産のワインを渡すのは西園寺家の執事アラキだ。

今日は土曜。

アラキは今しがた約束のレストランに行き、ある女性と御曹司の西園寺洸を引き合わせてきたところだった。

「それで、本当に洸さんは結婚する気なのですか?」
挨拶も早々に話を切り出したのは鈴木だ。
アラキから極秘で洸が見合いをすると聞いたものの、その後の情報が一切無い。洸本人は、お見合いのことなど何も言わないし、そんな素振りすらみせない。