アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

その思いが何かはわからない。

平安の都の姫たちはみな、人形のようにただじっとして屋敷の奥に隠れていた。

しかし目の前にいる彼女たちはどうだろう。
自らの意思で琴を奏で、何の疑問もなく誰にも何も言われずあのように人前に出ることができる。それが飛香の目には眩し過ぎるのかもしれない。

それとも自分が捨ててきた時代への望郷なのだろうか。

――母は、父はどうしているのだろう? いつも自分を心配してくれた女房の海未は、魂が入れ替わっている私に気づいているのだろうか?

一気に溢れだした感情は涙となり、押えようもなく瞼から零れ落ちた。

飛香は慌てて袖で隠し、俯いた。
隣に立つ彼にはどうか気づかれないようにと願いながら、指先でそっと涙を拭う。