アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

その位置から、『青扇殿』のほぼ全貌が見える。

庭園には小さいが池がある。
その池を囲むように迫り出した高床の下には、その池へと続く細い遣り水がうねるように流れている。

――寝殿と、その下を流れる遣水だ。

もちろん造りはまったく違う。
防犯や空調管理のためもあるだろう、部屋はガラス扉に囲われているし、部屋の床は板張りではなく畳が敷き詰められている。

だが屏風や几帳が立てられ、その空間が醸し出す雰囲気は、確かに平安の流れを汲んでいた。

大きく違うところと言えばーー。

十二単を着ている女性たちは、几帳の影に隠れたりはしていない。その美しい姿も露わに、琴を奏でている。

彼女たちを見るうち、飛香の胸には熱い思いがこみ上げた。