アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

写真などでは見ていたが、今ここにいる飛香には初めて目にする学園である。

贅を尽くしていると言われているだけあって建物も立派だが、同じくらい庭も見事だった。そこかしこに草花が咲き乱れ、大木が日陰を作り、目にした先では黄色い花のアーチの先から池が垣間見える。

「覚えてないか」

洸にそう聞かれて、飛香は「はい」と頷いた。正確には覚えていないのではなく、本当に初めてなのだが……。

――そういえば。

ふと“飛香の日記”を思い出した。

飛香は筝曲部に在籍していたらしい。あまり真面目に通ってはいなかったようだが、『仮装パーティが一番好き。十二単を着ることができるから』という記述があった。

「筝曲部だったはずなので、十二単でお琴を弾いていたと思うんですけどね」