アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

「いいのいいの。オークションは終わったし、このまま外歩いてたら熱中症で倒れちゃう」

冷房の効いた屋内ならまだしも、一歩外に出るとさすがに暑い。
笠を手に持つと生ぬるい風が頬を伝ったが、それでも布から解放されて幾分清々しく感じた。

あらためて洸を見上げた飛香は、またドキリとする。

マスクを取った彼は、何度見ても頭中将そのままで、自分がいる場所がどっちの世界なのかわからなくなるほどだ。

扇子替わりに笏(しゃく)でパタパタと仰ぎ、廊下を進みながら「懐かしいな」と洸が言う。

「洸さんが通っていたころと、変わりありませんか?」

「うん。大きくは変わっていないね」

「そうですか」

ということは、“飛香”がここに通った頃とも変わらないのだろう。