アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

現代の“荘園の君”も、女性を連れている。

その彼女は左の薬指に輝く指輪をつけていた。
指輪が意味することは兄から聞いてわかっている。恋人か婚約者。あるいは妻だということを。

『お兄さま、私には結婚は無理ですね』

『そんなことはないさ、優しくてボーっとした男と結婚したらいい』

『え?ボーっとした男?』

『そう、感性が鈍い男。大半はそんな男だから大丈夫さ』

兄の碧斗はそう言っていたことを思い出し、かなり失礼な話だとクスッと笑ってしまった。

「ん? なに?」

「あ、ごめんなさい。兄が言っていたことを思い出しちゃって。兄が『飛香は音が出るほどボーっとした男と結婚すればいい』って言うんです」