アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

昨日から慣れないことをしているせいだ。

――ストレスだな。

仕事も順調で最近は残業もないために、気が抜けているのかもしれない。忙しいことが普通になっていた。今のように余裕がある生活に体が戸惑っているのだろう。

それはそれで納得できる答えだった。

「まだ時間があるから、ひと通り見てみよう」

「はい」

ドレスや靴が並んでいる前を進みながら、飛香が不意に「素敵」と声に出して言って立ち止まった。

目を奪われたのはキラキラと輝く、シルバーのパンプス。

ポップ公告に書かれた文字は『今宵あなたもシンデレラ』

――シンデレラの靴。

“飛香の日記”に登場するので、この時代の多くを知らない飛香もシンデレラ物語のことは知っている。

「洸さん、平安時代にも似たような話があるって知っていますか? 落窪の姫の物語」