アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

目元はマスクで隠しているが、その声も直衣姿も記憶の中にいる荘園の君そのままの彼は、女性を伴っている。

蘇る平安での記憶。

『あの野の花のような純真な姫を、醜い権力闘争に巻き込んでは可哀そうだ』

壺装束の女性は、荘園の君が選んだ姫。

自分ではなく、親王の妻にふさわしい女性――。

今すぐにでもこの場から逃げ出したかった。

でも彼は違う。荘園の君ではない。
――似ているだけの人なのよ。

唇を噛み、『落ち着いて、落ち着いて』と飛香は自分に言い聞かせた。
彼がもし親王の生まれ変わりだとしても、彼の中に平安の都での記憶などあるはずはないのだから。