目元はマスクで隠しているが、その声も直衣姿も記憶の中にいる荘園の君そのままの彼は、女性を伴っている。
蘇る平安での記憶。
『あの野の花のような純真な姫を、醜い権力闘争に巻き込んでは可哀そうだ』
壺装束の女性は、荘園の君が選んだ姫。
自分ではなく、親王の妻にふさわしい女性――。
今すぐにでもこの場から逃げ出したかった。
でも彼は違う。荘園の君ではない。
――似ているだけの人なのよ。
唇を噛み、『落ち着いて、落ち着いて』と飛香は自分に言い聞かせた。
彼がもし親王の生まれ変わりだとしても、彼の中に平安の都での記憶などあるはずはないのだから。
蘇る平安での記憶。
『あの野の花のような純真な姫を、醜い権力闘争に巻き込んでは可哀そうだ』
壺装束の女性は、荘園の君が選んだ姫。
自分ではなく、親王の妻にふさわしい女性――。
今すぐにでもこの場から逃げ出したかった。
でも彼は違う。荘園の君ではない。
――似ているだけの人なのよ。
唇を噛み、『落ち着いて、落ち着いて』と飛香は自分に言い聞かせた。
彼がもし親王の生まれ変わりだとしても、彼の中に平安の都での記憶などあるはずはないのだから。



