アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

三十分ほど走らせたところで、車は青扇学園に着いた。

飛香が座る側のドアを洸が開ける。

目元を隠す布を巻いているのが残念なくらい素敵な笑顔で「さあ、どうぞお姫さま」と手を差し出した。

「ありがとうございます」
リムジンに乗った平安貴族がレディーファーストをしているのがなんだかおかしくて飛香はクスクスと笑った。

続々と到着する車に降りてくる人々。

「ん?」

その中に洸の見慣れた車が何台かある。それだけならそれほど驚くことではないが、問題は衣装だ。

「うわーすごいですね!」と飛香が喜ぶ。

「なんなんだ、示し合わせたように平安時代じゃないか」

知ってる面々が皆、洸と同じような直衣や狩衣姿で歩いてくる。連れの女性たちは飛香のように壺装束だ。

「お疲れさまです」

聞きなれた声に振り返ると、そこにも平安貴族がいる。

「なんだ、君もか」

目を半分だけ装飾した眼帯で隠してはいるが、紛れもなくそれは洸の秘書鈴木だ。