僅か30センチの恋


1週間後。

時計の針は19時をさしていた。
パソコンを閉じた俺は街へと向かう。

今日はスズの誕生日。
1週間前に予約しておいた
ブレスレットを取りに
宝石店へと向かった。

店員「木山様。こちらの商品で
お間違いありませんか?」

李人「はい。それで。」

スズが欲しがっていたブレスレット。
恋人におねだりしたと言っていた
そのブレスレットをわざわざ
俺は予約して買った。

今日、スズが笑顔で帰ってきたら
これは渡さない。
引き出しのどこかに一生
眠ったままになるだろう。

それでもいい。
むしろ、それがいい。
もう二度と誕生日に
スズの涙は見たくない。