僅か30センチの恋


多田「だったら、どうしてですか?」

李人「俺はずっとスズに言えなかった。
好き。たった2文字の言葉が言えなかった。
色んな話をしたのに
色んなアドバイスもしてきたのに
その言葉だけは口に出せなかった。
苦しかったし、もどかしかったよ。
泣いてるスズの事を俺は抱き締める事さえ
出来ない。よく頑張った。次は幸せになろう
そう言って頭を撫でるのが精一杯だった。」

何度も思った。抱き締めたいと。

李人「でも、誕生日にスズに告白して
ようやく俺の気持ちを伝える事が出来て
俺はこの先、何度だってスズに
好きって言えるようになった。
何度だって伝えようと思ってた。
だけど、多田さんに協力して貰って
恋人を演じるようになって...
後ろめたさが勝ってしまって
俺はまたスズに好きだと言えなくなった。」

何度も思った。好きって言いたいと。