(…私、本当に、彼に告白をされてるの…?)
島崎くんは女子社員に人気の、明るくて仕事のできる優秀な後輩なのだ。そのうち年下の可愛い彼女でも作るんだろうなと思っていて…私が彼の眼中に入っていることすら想像していなくて…。ああ、頭がぐるぐるする。


「そのチョコレート、食べてくださいね。これは品田さんが落ち込んだ時のために常備してるんです。別に僕、チョコとか甘いものってそんなに好きじゃないですよ。食べられないことはないですけど、自分で買うほどじゃない。でも品田さんが甘いもの好きだって知ったから、僕は机にお菓子を常備するようになったんです。いつでも品田さんを元気づけてあげられるように」

「……!」

彼は私が叱られるたび、仕事が忙しくなるたび、おすそわけですと言ってお菓子を分けてくれていた。しかも、期間限定の味や新商品をわざわざ調べて手に入れてきたりして…。石田先輩と同じように、彼も普通に甘いものが好きなんだと思っていた。

(あれは私のためだったの…?嘘、でしょ…?)


「僕は品田さんが好きです」

「……っ」

「良ければ僕と付き合ってほしい」

「…、し、島崎くん…」
島崎くんは私をまっすぐ見つめて、柔らかく微笑んで私の反応を待っている。
けれど私は硬直して動けない。何か言葉を発しようとしても、口がパクパクするだけで何も言えなかった。


「告白の返事はすぐに聞かないほうがいいですか?」
私の様子を見て彼は苦笑した。きっと私は酷い顔をしているだろう。


と、私を優しく見つめていた彼の手がすっと伸びて、私の頬に触れた。
(あ、まずい)
彼の顔が近づいてきた。キスの気配を感じたけれど、私は魔法をかけられたように、指一本すら動かすことができない。彼の潤んだ瞳を目の当たりにして、拒絶することなんてできるわけが……。