結局帰りのホームルームが終わっても友人に答えはわからず、
友人は少し不服そうだったが、部活に行くと元気は機嫌は直っていた
剣道部の稽古時間は長くて、ほかにスポーツと呼べるような部活もないうちの高校では、一番遅くに終わる。
夏だからといっても少し薄暗い七時、幼馴染と帰る友人より少し遅くに、生徒玄関に着いた。
外は雨、傘を持って帰ろうと扉に手を掛ける。
うんともすんとも言わない扉に誰かが外鍵を閉めてしまったのだと気づいて、職員室に向かう。
職員室には、まだ殆どの先生が残っていて、職員玄関を開けてもらう。
「さようならー」
丁度帰る所だったからと開けてくれた国語の教師に挨拶して、傘を広げ歩き出す。
前に見つけたよく知る背中。
「せんせ」
いを言い切る前に口が勝手に閉じた。
よく知る先生の隣にいたのは音楽の教師、女の教師と親しげに同じ傘に入る先生に声をかけられるはずもなく。
相変わらず女の人に傘を傾けて、濡れてしまっているワイシャツの肩に、胸が締め付けられた。
音楽のサエコ先生は、もともと女学校で女の子ばかりの生徒の間でも評判がいい
性格もよくて、スタイルもよくて、顔もそこそこによくて、だけど全然いやみっぽくなくて、教え方も上手いって。
そういえば誰かも言っていた。
先生と音楽のサエコ先生ってお似合いだって。
見ていられなくなった私はしばらく立ち竦んでいると後ろから声がかかる
「あーちゃん?」

