重なるてのひら ~ふれあう思い~

後、一年あるって思ってたけど……

後、一年しかないのかもしれない。

たとえ担任じゃなくなっても………同じ学校にいられるしね。

大学生になると………学校で姿を見ることすらなくなる。

それでも……別れなければ……きっとまた淋しくないように

先生は考えてくれるはず。

大人になることは不安で怖いこともあるけど……みんなならないといけない。

大人にならないと……先生とも一緒にいられない。

だったら………この一年、しっかり考えて悩んで大人になる努力をしよう。

「先生、ありがとう。
この鍵はやっぱり卒業してからもらう。
でも……ちゃんと甘える。一人で泣かない。
だから………私を信じて。」

私の覚悟が伝わって欲しい。

「分かった。
やっぱりこれは………卒業式が済んだら渡す。
けど……
今の時代、どんな方法だって繋がることができる。
おまけに、俺達には樹とはぁちゃんが側にいる。
だから………たとえ小さな悩みでも……教えて欲しい。
一人で泣かないと……約束して欲しい。」

うん、分かってる。

『一人で頑張らないと』って思っていたことが間違いだった………って。

大切な人が……私を大切にしてくれるから………

頼れる強さがついたよ。

隣にいてくれるっていうのは…………距離じゃないことも知ったよ。

先生と恋をして………

自分が自分を大切にしないと……誰も大切にしてくれないってことも分かった。

だから……大丈夫。

泣く時は、先生のところで泣くからね。