鍵のカチャという音に………

お尻の下からゾワァ~ってするような、緊張感が走った。

いよいよ、先生が帰ってくる!

「ただいま」と覗かせた顔に………

「あっ!おっ………お帰り………なさいませ。」

クスクス笑ってもう一度「ただいま」って。

「あぁ~良い匂い!
リクエスト、作ってくれたんだ。」

リクエストって…言っても…………

お鍋なんだけどなぁ~。

「お鍋って、お料理ですかねぇ??」

「うん、立派な料理だよ。
一人で鍋なんて、絶対しないもんなぁ~」って。

料理の腕前披露には、ちょっと物足りないメニューだけど

先生が喜んでくれるならいいかなぁ。

背広の上着をソファーにかけて、ネクタイもはずしてる。

以前、先生の誕生日会でも一度目にしたけど……カッコいい。

「なに?」

じっと見つめていると、先生に笑われる。

「先生じゃない先生に……ドキドキしてます。」

「だったら、先生って呼ぶのを止める?」

えっ!『先生』って呼ばないで………なんて呼ぶの??

……………………ムリムリムリムリムリムリ。

和也さん??

呼べないよ~

あれこれ考える私が可笑しいらしくて

変わらずクスクス笑ってる。

「もう先生、からかい過ぎですよ~」

恥ずかし過ぎて…………キッチンに逃げ込んだの。