重なるてのひら ~ふれあう思い~

樹先生が授業を終えてからは……

キャバクラ状態。

クラスを持たない樹先生も、一緒に参加してのお別れ会は

みんなにジュースを注がれ、写真を撮られて大騒ぎ。

私はその輪から少し離れて………

学生服を着ても、やっぱり先生は先生なんだなぁって思いながら眺めている。

一人一人に話している先生は……その子の一番良いところを……誉めているのだから。

私が行ったら、なんて誉めてくれるのかな?

一年前の4月。

先生が担任を持つという噂が流れて、学校をちょっとしたパニックになった。

誰もが先生のクラスになって………自分を知ってもらいたかったから。

私は………

恋とは違うけれど………思い出して欲しかった。

あの一番辛くて悲しかった日に、手を差しのべてくれたことを………。

そうして、もしも叶うのなら…………もう一度手を差しのべて欲しいと思った。

あのさりげない優しさで…………。