重なるてのひら ~ふれあう思い~

欠伸を噛み殺して、涙目の先生。

「和君、や~らしい!
ちぃちゃん、隣から出てきたよね!」って樹先生。

今朝、偶然部屋にきた樹先生と鉢合わせしちゃったの。

荷物の用意をしようと、部屋に帰る時に……。



結局あれからシャワーを浴びて、パジャマに着替えてベットに入ろうとしたら

先生から電話がかかって

「まだ?」って………。

寝不足は申し訳ないから……一人で寝ようとしたのがばれちゃった。

部屋に行くと

「遅い。」とブツブツ言いながら、温かいココアを入れてくれた。

「冬にカルピスじゃあ、寒いかと思って。
コーヒー、苦手でしょう?」

飲めないことはないし………

ウチでもコーヒーを飲んでるから

本当はコーヒーより甘いココアが好きなこと………お姉ちゃんだって知らない。

「この間、美味しそうに飲んでたから。」

そう………この前、はぁちゃんが『間違えて押した』と言って

渡されたココア。

はぁちゃんは、コーヒーはブラック派だから甘いココアなんて、絶対飲まない。

『大丈夫、飲めるよ』って言って貰ったけど……

本当は、大好きだったりするの。

誰にも言ってないのに………

「尋は、あまのじゃくだから……ちゃんと見とかないと見逃す。」って笑って

鼻を摘ままれる。

『ちゃんと………見てくれる……………。』

自分のことを………こうやって気にかけて……

見守ってくれる人がいるのは…………………嬉しい。

特に今日は…………。

先生は何も聞かなかった。

ただ…………

『風呂上がりの尋、良い匂い!
今日は、このまま引っ付いてようか?』って……

ソファーに座って、二人寄り添って眠ったの。