重なるてのひら ~ふれあう思い~

マンションに着くと、電気も点けずに………ベットにダイブする。

やっと泣ける。

一人になってホッとすると……………涙が溢れてきた。

……………………………。

ベットにうずくまっていると、玄関の鍵が開く音が……………。

鍵を持ってるのは…………先生だけ。

「やっぱり泣いてる。」

そう言うと……布団ごと抱き抱えてくれた。

どうして??

泣いて恥ずかしい顔を隠すことなく、見つめると………

「いつもの時間に電話がかかってこないから
一緒に倒れてないか心配になった。
………家電話にかけてみたら……お母さんが出て
気になって来てみたら…………玄関が開いた…………。
今日は、つくづく思ったよ。
隣に引っ越して来て良かったって……。
ウチのお嬢様は、辛いと一人で頑張っちゃうからね。
……………………………………………。
…………………俺が隣にいるだろう?…………頼れ。」

そう言うと………ゆっくり背中を撫でてくれる。

…………………………………………。

どれくらいこうしていたんだろう。

ポタリと頬に雫が落ちた。

??

泣いてるの?

そんな訳ないと思いながら、顔を上げると………

「ごめん。冷たかった?」って。

濡れた頭にタオルを被ってた。

!?

先生、シャワー中だったの??

慌てて飛び退く私に

「服は、来てるよ。」と的はずれな答え。

裸だなんて、思ってないよ!

それより…………

「風邪引いちゃう!帰ってシャワーを入り直して!」

慌てる私に

「だったら着いておいで。
一人にしとくと、また泣いちゃうから。」って。

手を繋いだまま玄関に、スタスタ歩いて行く。

「ちょっと待って!」

泣いてグチャグチャな顔を、明るい部屋で見られるのは耐えられないから……

「シャワーを浴びたい!」と言ってみた。

「そっかぁ、尋も一緒に浴びたいんだぁ。
いいよ!」ってニッコリ。

違う!違うよ。

慌てて首を振ると

「分かってるよ………冗談!
それは、卒業してからのお楽しみ!」って……。

冗談は良いとして………………

卒業してから??

えっ!

頭をポンと撫でてから

「じゃあ、お互いの部屋でシャワーだけ済ましちゃおうか。
終わったらおいで。
今日は、一緒に寝るから……パジャマで来てね。」って。

えっ!一緒寝るの??

お泊まりは…………って言ってのに。

たぶん、一人だと寝れないって思ってくれたんだね。

一人、さっさと玄関に行く先生の背中に………抱きついた。

「ありがとう。」