「はい、出席をとります。」

居心地の悪そうな教室。

笑いを噛み殺してると…………睨まれちゃった。

バレンタインの次の日

学園中のひんしゅくを買った………先生と樹先生。

トイレと男子更衣室で、1日過ごした二人のニュースが

生徒達の間に広まって

「ヒドイ!」

「女の子の想いを無下にし過ぎ!」

「貰ってくれたって良いじゃない。」と…………。

あんなにあった人気も、一瞬で消えてしまったの。

女の子の団結力は、ホントに怖い。

一通りの出席を終えて………先生が話し始める。

「みんなが、昨日のことで気分を害しているのは知っています。
好意をあんな形で返すのは、失礼だと分かっています。
本当は、一人ずつ丁寧にお断りするべきなのですが………
『義理チョコです。』と言われると………断ることが難しくて。
私には、大切にしたい人がいます。
たとえ義理チョコでも……受け取ってしまうと……悲しませてしまいます。
バレないように貰えば?と言われると人もいますが……
それでは、贈ってくださった人にも失礼ですし………
彼女には、正直でありたいので………。」

そんなこと聞いて泣かないでいるなんて無理。

先生……クラスで泣いたらバレちゃうよ。

シクシク泣く声が…………重なって聞こえて

顔を上げると………

大半の生徒が涙している。

えっ??どうして??

クラスの殆どが先生の彼女なの?と……思わず疑いそうになる。

「先生。」

「和也先生……ごめんなさい。」

「先生は、酷くないです。」

「生徒とのことを、とても大切に思ってくれてたんだって分かりました。」

「彼女さんのこと、大切にしたいって気持ちも………
感動しました。」って……口々に褒め称えてるの。

私の涙が、みんなに紛れて良かった。

消えた人気が、またまた一瞬で回復する辺り………

先生って、やっぱり凄いなぁって思う。

大切にしている彼女さんが私ってバレたら………どうなっちゃうんだろう。

今日のみんなの反応で、クラスの大半が先生に好意を持ってることが

分かっちゃった。

先生はよく

『女子校にありがちな、パンダ的存在の好意だよ。』っていうけど。

真剣に恋をしている子も、かなりいるんだろうなぁ。

手紙の女の子がどうなったのか、気になるけど……

昨日の先生達の行動と……

今の言葉が伝わってくれたら、上手く解決するような気がする。