「…俺ね、乙羽が幸せなら身を引くつもりだったんだ。」




「え?」




身を引く…?




「…中学の時、引っ越して乙羽と別れて、ずっと後悔してた。自分を納得させようと、乙羽のためだって言い聞かせてた。乙羽を忘れようと頑張ったんだけど、でも…無理だった。」




那央の声は微かに震えていた。




「乙羽のことが忘れられなくて、どうしても会いたかった。俺が、勝手なことを言ってるのも分かってる。でも、やっぱり俺には乙羽しか考えられなかった。」




「那央…。」