好きって言わなきゃヤダ。【完】

もうなんでもいいから温かいものが欲しい…。




寒さに震える身体は温もりを欲している。




アタシはそんな会話を聞こえないフリして


男の子がカイロを渡してくれるのを待った。




すると、そんなアタシを、


瑠衣君がジッと見つめていることに気づく。




「え、なに?」




そして瑠衣君は足を止めると


手に持っていた袋を地面へと置く。




ど、どうしたの?


…まさか、ここから先はアタシが持てってこと?




キョトンとしていると


おもむろに瑠衣君は着けていたマフラーを外す。




「乙羽。」


「なっ、なに。」




改めて名前を呼ばれ、ドキッと胸を鳴らす。