好きって言わなきゃヤダ。【完】

「大丈夫だよ乙羽ちゃん♪俺はそんな乙羽ちゃんも大好きだから♪」




先輩の不快な声はアタシの思考を鈍らせる。




アタシって、軽い女の子だったのかな。


自分で気づかないだけで本当は…。




薄っすらと視界が涙で滲み始めた、その時だった。







「これ以上、乙羽のこと虐めるのやめてくれる?」







「……え?」




聞こえるはずのない声に、一瞬驚きを覚える。




そして、ゆっくりと。


顔を上げたアタシの目の前には瑠衣君がいた。




「るっ、瑠衣君…!?」




見慣れた後ろ姿がアタシの視界から


桜田先輩の姿を隠していた。