合唱祭の決めごとをした日から1ヶ月程が過ぎた。
私はあの日以来クラスのみんなから冷たい視線を当てられると思っていた。なのに、、
あれ?おかしい。今までと変わらない。声をかけてくる人はいないが睨みつけてくる人もいない。今まで通り。
まぁ、そっちの方がありがたいんだけど。めんどくさいことには巻き込まれたくない。私は授業中以外はヘッドホンをつけ今まで通り一人で過ごし、放課後は奏の病室へ行くという日々を繰り返していた。

今日の放課後も私は奏の眠る病室へと向かう。
「奏!お待たせ!今日は暑いね〜少し窓開けようか!桜もすっかり散っちゃったねぇ〜、、まぁ、当たり前か、、」
広い病室に私の声だけが響き消えてゆく。
窓を開けると気持ちの良い風が入ってくる。

「風が気持ちいいね。ねぇ、奏、、」

私はかなでの手を握った。暖かい。

[ガラッ]

「あら。紅葉ちゃんまだ居たの。毎日毎日来て奏くん愛されてるわね〜でも、もう暗いし面会時間終わるから帰った方がいいわよ」
担当看護師の清水さんはそー言いながら奏の点滴を変える。

「え、、もうそんな時間ですか?ごめんなさい」
私は慌てて荷物をまとめる。気づいたら時計は6時55分を指していて、面会時間終了まであと5分だ。

奏と過ごす時間はあっという間。