「この何か月で、今までの俺の堕落した生活を全部清算した。
バンドも脱退したよ。
それは、麻里に言われたからじゃない。
俺自身がちゃんと自分と向き合って、自分で決めた事。
ま、今まで俺におんぶにだっこだったメンバーには悪かったけど…
でも、俺にとってもいい機会だった。
麻里が言うように、夢や希望をバンドに抱いてたわけじゃなかったから。
という事で、俺は俺に与えられた仕事にちゃんと向き合う。
そんな俺をちゃんと見てほしい」
凛様は私に何を求めているの…?
凛様の言葉に込められた想いが正直過ぎて胸が苦しい。
「同じ家の下に暮らしている状況で、麻里につき合ってなんて今は言えないのはよく分かってる。
ちゃんと働いて、仕事や生活に余裕ができたら、この家を出てマンションを借りる予定だから、その時にちゃんと告白するよ。
俺とつき合ってほしいってね」
私は瞬きもせずに凛様の顔を見ていた。
瞬きしたら涙が落ちてしまうから、そんな私を凛様に見られたくない。
「麻里? 返事は?」
私はハッとしてキョロキョロしてしまう。
「返事…?」
凛様はクスッと笑った。
その穏やかな笑顔は、必ず私をものにするという自信に満ちた余裕の笑顔。



