シンデレラは騙されない



「凛太朗~~~」

遠くで星矢君の声がする。
凛様は行くぞ~~とふざけた声を上げた後、肩をすくめて私達を見た。

「星矢のパワーはどっからきてるんだろう」

すると、清水さんが笑顔でこう答える。

「この家の誰もが凛様のお帰りを待っていたのですよ。
家族はもちろん、ここにいる私達も。ね?」

清水さんはそう言って私に同意を求めた。
私は慌てて小さく頷く。

「そうかな~、ここにいる約一名は、あまり嬉しそうじゃないんだけど」

私は凛様と目が合って、何だか急に恥ずかしくなった。
凛様のこの天真爛漫さは本当にずるい。
この間よりも今日、今日よりも明日って、凛様をどんどん好きになる私は、この先の未来を考えるのが怖かった。

「あ、そうだ、凛様が買ってきたお土産を奥様たちに出してきますね」

清水さんは、あまり演技が上手くない。
だって、明らかに二人っきりにしようとする意図が丸見えだから。