凛様は、こんな時でも素直で正直過ぎる。
駆け引きなんかを考えていた自分が情けなくて本当に恥ずかしい。
でも、だからといって、この言葉を鵜呑みにするのは怖かった。

凛様の甘いキスと甘い言葉はストレートに私の心に響いたけれど、凛様の質問にどう答えていいのか分からない。

凛様を私も好き…
凛様を愛したいし、凛様に愛されたい…

でも、ここは夢の世界…
夢の中で見る夢は、夢のそのまた夢の出来事…

何も言わない私を、凛様はただ優しく抱きしめた。

「黙ってるのはずるいぞ」

凛様のその言葉でちょっとだけ頭の中がパニックになった。
自分の立場はちゃんと分かっている。
会長の顔や綾さんの笑顔が頭に浮かんでは消えるから。

凛様に抱きしめられて、凛様のキスや匂いに思考回路が破壊されて、でも答えを求められて、私はただ漠然と思いついた事を口にした。

「凛様が、バンドを辞めたら、つき合ってあげる」

きっと、バンドは辞めれないはずだから…