シンデレラは騙されない



凛様は私から目を離さない。
それは、私の事を馬鹿にしてるような逆に崇めているような、何とも理解ができない眼差しで。

凛様の魅力は、完璧な育ちの上に成り立つ人間としてのレベルの高さ。
それは何でもない仕草だったり、立ち振る舞いだったり、物の見方や考え方が素直なところ。

でも、彼はその自分の素晴らしい魅力を受け入れていない。
恵まれているからこそ湧き出る不満分子の方が、きっと彼の大部分を占めている。

凛様の今の顔つきを見れば、それは簡単に想像ができた。

「月に一回、働いてる」

凛様はそっけなくそう答えた。

凛様はやっぱり私を馬鹿にしている。
でも、その前に、凛様の言葉を斜めにしか受け取れない自分もたまらなく嫌だった…

一回、開いた私の口は、次から次へと余計な事を喋り出す。

「月に一回の会議で、会社の事を考えて積極的に意見したりしてますか?」

凛様の事は好き…
でも、働かない男は絶対にあり得ない…

「ないない、ほとんど寝てる」